MarketPlaceからSQL仮想マシンを作成する場合とAzureVMに手動でSQLをインストールする場合の違いについて
Published Sep 04 2023 01:47 AM 2,660 Views
Microsoft

こんにちは、 SQL Server サポートです。

 

Azure で SQL Server を利用する場合、 Market Place から SQL server インストール済みのイメージファイルを利用してデプロイする方法と、 SQL Server を含まない Azure VM をデプロイし、あとから SQL Server をセルフインストールする方法があります。
その方法による違いについて解説いたします。

 

【前提】
SQL Server インストール済みのイメージファイルからデプロイした場合、 Azure VM 上に SQL Server をセルフインストールする場合のいずれであっても、SQL Server 本体の機能に違いはありません。
また、 AzureBackup などの Azure 独自の機能をご利用になる場合は、 SQL Server IaaS Agent 拡張機能のインストールが必要となりますが、この拡張機能についても、いずれの構築方法でも利用が可能です。

【要点】
主な違いは以下の2点です。


構築手順

SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合、ベストプラクティスに沿った設計で SQL Server のインストール、ネットワーク構成などが完了した状態で構築できます。
基本的な設定については、 Azure Portal のデプロイ時の設定画面で、任意の設定に変更することが可能です。
Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合、ご自身で SQL Server のインストーラーを持ち込み、インストールを実施します。インストールウィザード上で、任意の設定を指定可能です。

 

ストレージの構成

SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合、データディスクは「記憶域プール」が自動で構成されます。 これは、最適なパフォーマンスを引き出すためのベストプラクティスに沿った構成です。
Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合、選択したイメージによってディスクが構成されます。記憶域プールが不要、コスト削減のために StandardSSD を使用したいなどの理由で選択される場合が多いようです。

 

以下より、詳細な違いについて解説します。


【構築手順】

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  • SQL Server のインストール
  • 日本語化手順
  • 照合順序
  • SQL Server IaaS Agent 拡張機能

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■ SQL Server のインストール

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合
[Azure Portal] > [SQL 仮想マシン] > [+作成] からデプロイします。
OS、 SQL Server のバージョンの組み合わせは、事前に用意されたイメージのみ選択できます。
現在指定可能なバージョンについては以下の公開情報をご確認ください。


参考)Azure Windows Virtual Machines 上の SQL Server とは

 

- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

事前に Azure VM をデプロイ後、 SQL Server のインストールメディアを持ち込み、ユーザー自身でインストールします。
SQL Server は、ご自身で好きなバージョンのものをインストールすることが可能です。
各バージョンが対応している OS については以下の公開情報をご参照ください。


参考)Windows での SQL Server の使用

 

■日本語化手順

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合

英語版の SQL Server がインストールされていますので、 OS の言語設定変更後、 SQL Server をアンインストールし、日本語版のインストーラーを用いて再インストールする必要があります。

 

参考)
Azure 仮想マシン上に作成した SQL Server の日本語化手順(Windows OS 版 SQL Server 2019 対応手順)

- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

OS の言語設定を変更後、日本語版の SQL Server のインストーラーを用いてインストールします。

 

■照合順序

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合

仮想マシンデプロイ時の [SQL Server 設定] で変更が可能です。

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- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

SQL Server インストール時にインストールウィザード内で指定が可能です。

SQL Server 照合順序
*************************
セットアップSQL Server、既定のインストール照合順序の設定は、オペレーティング システム (OS) のロケールによって決まります。 サーバーレベルの照合順序は、セットアップ中に変更するか、インストール前に OS ロケールを変更することで変更できます。
*************************

 

■SQL Server IaaS Agent 拡張機能

Azure 上の SQL Server に対して、 SQL Server IaaS Agent 拡張機能を利用することで、管理タスクの自動化が可能です。

利用可能な機能については、いずれの方法で SQL Server をインストールした場合でも違いはありません。

参考)Windows SQL Server IaaS Agent 拡張機能を使用して管理を自動化する

 

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合

仮想マシンデプロイ時に自動でインストールされます。
ただし、日本語化の対応などで SQL Server をアンインストールした場合は、再度ご自身で SQL Server IaaS Agent 拡張機能を登録する必要があります。

 

- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

SQL Server インストール後、ご自身で SQL Server IaaS Agent 拡張機能を登録します。
自動登録 を有効にしている場合は、定期メンテナンスにて自動で登録されます。

 

参考)SQL IaaS 拡張機能を使用して Windows SQL Server VM を登録する

 

【ストレージ】

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  • 記憶域プール
  • データドライブ構成

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■記憶域プール

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合

大きな違いとして、 SQL Server インストール済みのイメージから VM をデプロイすると、 SQL Server 用のデータディスクが記憶域プールに作成されます。これは、最適なパフォーマンスを引き出すためのベストプラクティスに沿った構成です。

 

データ ディスク
*************************
データ ディスクはリモート ストレージ ディスクであり、多くの場合、1 つのディスクが仮想マシンに提供できる容量とパフォーマンスを拡大するために、記憶域プールに作成されるます。
*************************

 

記憶域プールに構成されたデータディスクは、 VM のデプロイ後、 Azure Portal からサイズの拡張が可能です。

 

参考)SQL Server VM のストレージを構成する

 

- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

選択したイメージによってディスクが構成され、後から追加、拡張することが可能です。

Azure VM でディスクを追加し、SQL Server をインストール時にデータファイルとログファイルの保存場所を指定することで、SQL 仮想マシンからデプロイした場合と同様に構成することが可能となります。

 

参考)Windows 仮想マシンに接続されている仮想ハード ディスクを拡張する方法

 

■データドライブ構成

- SQL Server インストール済みのイメージからデプロイする場合

デプロイ時のメニューにて選択が可能です。既定で以下の構成になりますが、任意のドライブに変更が可能です。

- データ: F(既定の場所の設定値)
- ログ : G(既定の場所の設定値)
- tempDB: D(mdfとldf の配置される場所) ※VMのサイズによっては D ドライブがないものもあります。

 

SQL Server VM のストレージを構成する

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注意

一部の VM サイズには、一時ストレージまたはローカル ストレージがない場合があります。 一時ストレージのない Azure VM に SQL Server をデプロイすると、tempdb データ ファイルとログ ファイルはデータ フォルダーに配置されます。

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- Azure VM に SQL Server をセルフインストールする場合

イントール時にウィザードから指定可能です。
Azure VM の場合、ドライブの構成は既定で C ドライブと D ドライブが構成されているため、他のドライブに設定したい場合サーバーマネージャーなどから事前にドライブを作成する必要があります。

 

参考)SQL Server をインストール ウィザードからインストールする (セットアップ)

なお、データベースファイル、ログファイルの既定のディレクトリについてはいずれの場合においても、インストール後に以下の手順で変更が可能です。

 

参考)データ ファイルとログ ファイルの既定の場所の表示または変更

 

※本blogの内容は 2023/09/04時点での情報です。

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‎Sep 04 2023 02:15 AM
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